ある日の夜のことだ ドタバタドタバタ 夜遅くになっても、子供部屋の方からのその音は止まなかった 部屋の中を、縦横無尽に走り回っているような音だ その家に住む母親は、リビングでその音に耐えていた しかし、しばらくしてもその音が鳴り止まないため、さすがにその重い腰をあげた 子供部屋に向かい、部屋のドアノブをひねる と同時に、気づいたのか 走り回るような音が止んだ 母親は、ドアをあけ上半身だけ部屋の中に乗り出し 「ジョン?早く寝ないと駄目じゃない!」 と、寝ないで走り回っていると息子のジョンを叱り付けた 「だって、眠れないんだもん!」 ジョンは頬を膨らませ、眉を寄せながら言葉を返した 「おとなしくして目を閉じてたら眠れるわよ、さあ早くベッドで横になりなさい」 せかせかと息子をベッドまで運び、布団をかぶせて寝かしつけた ジョンはすぐにすやすやと寝息を立て、熟睡した ジョンが寝てからは、再び音がなることもなく、母親もやれやれと床についた しかし、次の日の晩も同じやり取りがされた 騒ぐ音に耐えかねた母親が部屋まで向かい、早く寝なさいと息子を叱った ジョンは不服そうにしながらもベッドに横になり、いずれは熟睡した その次の日も、また次の日も… さすがにこれは生活習慣を正さねばと母親は思った そしていつものように子供部屋へと向かい、ドアを開けた 「いい加減にしなさい!毎晩毎晩なぜすぐに寝ないの!?」 しかしジョンはいつもより、さらに一層不服そうな顔をし母親に抗議した 「お母さんこそ、毎晩毎晩走り回ったりなんかして、うるさくて眠れないじゃないか!」 母親は数秒の間の後、背中が一気に凍りついた