黒銀のネウロイは夜の空へと飛び去った。 「状況が計れないほど愚かな敵ではないようですわね」 クロステルマン少佐はそうつぶやくと、中佐の腕をとり立ち上がらせた。 少佐は、現506司令、かつては501で坂本中佐と共に戦った歴戦のウィッチだ。 「坂本中佐、お怪我は?」 「ああ、大丈夫だ・・・しかしよくこちらの場所がわかったな。それに今は・・・506の司令をやっているんだろう?」 「ガリア情報部を甘く見てもらっては困りますわ、中佐。それに、指揮は代理のものに任せてあります。 今頃基地では頼りにならない隊長だと陰口を言われている頃でしょう」 「すまん・・・」 「もう、冗談ですわ。相変わらずこういう駆け引きには鈍感なままで・・・おかわりなく」 クロステルマン少佐は、優しい笑みを中佐に向ける。 「はは、ミーナにもそう言われたよ」 「ミーナ大佐と?お会いしてたんですの?」 威厳と気品を保っていたクロステルマン少佐の表情が一瞬崩れた、が僅かな時間だった。 自慢のガリア情報部も、中佐の気まぐれとカールスラントの同業者の前では満足な仕事が 出来なかったらしい。 「ああ・・・それで・・・クロステルマン少佐と呼べばいいかな?」 「ふふ、ペリーヌで構いませんわ。あの頃と同じように。」